命と心を同時に支える現場の葛藤
福祉施設で働く看護師として、日々向き合うのは「利用者の命」と「利用者の心」。この2つの両立は、言葉で言うほど簡単ではありません。
一方で、介護職員の仲間たちもまた、日々、生活のサポートを超えて“人間らしさ”を守る仕事に奮闘しています。
「入浴を気持ちよく」「食事を楽しみに」「笑顔を引き出すレクリエーション」――どれも、命の土台にある“心”を守るケアです。
今、AI技術がどんどん発展しています。看護も介護も、AIという新たなパートナーと出会うことで、「人にしかできない仕事」にもう一度立ち戻るチャンスが訪れています。
AIは“業務効率化”ではなく“人の可能性を引き出す”道具
AIは現場の“負担を減らす”だけでなく、“時間と心のゆとりを生む”ことで、看護師も介護職員も、より人間らしい関わりを深めることができます。
AIを正しく活用することは、業務効率化を通り越し、人の可能性を引き出してくれる道具となり、看護や介護の理想に大きく近づくことができてきます。
現場にある限界と可能性
AIの活用が人の引き出す道具とはどういうことか。その理由として、以下のようなものがあります。
▸ 看護職の葛藤
「異常に早く気づきたい」「でも記録に追われて見逃してしまう」
→ AIがモニタリングを担えば、看護師は“気配り”と“観察”に集中できる
▸ 介護職の葛藤
「全員の排泄や移乗を一人でカバーするのは限界」
「レクリエーションにもっと時間を割きたい」
→ AIが排泄予測や移乗補助を担えば、介護職は“関わり”に時間を使える
看護・介護が共に活用するAIの形と未来像
✅ バイタル・行動記録の自動化(看護・介護共通)
AIが日常の体調や行動を自動記録し、異変を可視化。
→ 利用者に対して「今日いつもと違った点」にすぐ気づける。
✅ 排泄予測AI・移乗アシストロボット(介護)
尿意のタイミングをセンサーで予測。移乗もロボットが安全にサポート。
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未来像:排泄のタイミングが事前にわかり、失禁や不安が減少。「おむつ外し」も現実に。
✅ 会話型AIレクリエーション支援(介護)
日替わりでクイズや昔話を話してくれるAIが登場し、職員のレク支援を補完。
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未来像:職員が全員分に対応できなくても、利用者の孤独感が減り、“会話の時間”が増える。
看護・介護の本質は「人にしかできないこと」
AIが登場したからといって、私たちの仕事がなくなるわけではありません。むしろ、**私たちにしかできない部分が“より鮮明に見えてくる”**のです。
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看護師は、「この人の命と生活に何が必要か」を多角的に判断するプロ
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介護職は、「その人らしさ」を支える日常のプロフェッショナル
AIがサポートしてくれるからこそ、私たちはもっと“関われる”。
それがこの先のケアのあり方です。
看護師と介護職が共に描く「こうなったらいいな」の未来像
看護職の願い
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📍 記録はAIに任せ、もっと話を聞ける時間がほしい
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📍 異常の早期察知で、急変が起きる前に対応できる安心を得たい
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📍 医師や他職種との情報共有がリアルタイムでスムーズに
介護職の願い
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📍 利用者の排泄や移乗をAIが予測・補助してくれる現場
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📍 一人一人と丁寧に話す時間が持てる職場環境
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📍 見守りの不安が減り、心から笑顔で向き合えるように
さいごに:テクノロジーの進化は“人の仕事”を取り戻すために
「AIがケアを奪う」という誤解ではなく、**「AIがいるから、人が人らしく働ける」**という希望を、現場から広げていきたい。
ほんの小さな一歩でも、未来のケアは確実に変わっていきます。
私たちの手で、“命を守り、心を支えるケア”を、より豊かにしていきましょう。