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介護士が語る有料老人ホームの「現実」と「希望」

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高齢者の心に寄り添うということ

 

私たちが有料老人ホームで働く中で、時々出会うのが、周りの人にはなかなか理解されにくい「思い込み」を抱えている方々です。

「誰かに大事なものを盗まれた」「職員が自分に意地悪をしている」といった、被害妄想に悩まされる方もいらっしゃいます。

ご本人にとってはそれが「現実」なので、いくら私たちが「そんなことはないですよ」と丁寧に説明しても、なかなか受け入れてもらえません。 真剣に向き合えば向き合うほど、こちらの心が疲れてしまうことも正直あります。

この「思い込み」を解くには、無理に否定するのではなく、まずはその気持ちに寄り添うことが大切だと私たちは学びました。

「そう思われるのですね」と相手の言葉を受け止め、その上で、どうすれば安心してもらえるかを一緒に探していく。そうした地道な関わりが、お互いにとってより良い関係を築く第一歩なのではないかと感じています。


 

誰もが年を重ねても「自分らしく」

 

有料老人ホームに入居しても、生き生きと毎日を過ごされている方もたくさんいらっしゃいます。 共通しているのは、友人との交流を大切にしたり、趣味を楽しんだりと、ご自身の世界を広げ続けていることです。 中には、ホームの中で新たな恋を見つける方もいらっしゃいます。

「もう年だから」「結婚しているから」と諦めるのではなく、いくつになっても誰かを想ったり、ときめいたりする心は、人生を豊かにしてくれます。

しかし、その一方で、恋愛がトラブルに発展することも残念ながらあります。特に、夫婦で入居している場合でも、それぞれの気持ちにズレが生じ、苦しみを抱えているご夫婦も少なくありません。

こうしたデリケートな問題は、職員もどう対応すべきか悩むことが多く、ご本人たちもなかなか相談できずに抱え込んでしまうことが多いようです。

高齢者の恋愛や人間関係の悩みは、一見見えにくいかもしれませんが、ホームの生活の質を左右する重要な課題です。 今後は、私たち介護職員だけでなく、専門の相談員や心理カウンセラーが連携し、安心して悩みを打ち明けられるようなサポート体制が求められるでしょう。


 

安心して働き続けられる場所を目指して

 

有料老人ホームは、入居者様にとって「我が家」であり、安心できる場所でなければなりません。 高額な費用を払って入居されている方が多いため、サービスに対する期待も非常に高いです。 そのため、私たちの仕事は時に厳しいご意見をいただくこともあり、新人スタッフの中には、そのプレッシャーに耐えきれず辞めてしまう人もいます。

人手不足が深刻な介護業界で、この問題は大きな課題です。 現在では、どんどんとAI が発達していき、介護業界でも徐々に活用されつつあります。しかし、まだまだ適用されていないところがほとんどを占めています。これから、ロボットによる補助やIT技術の導入は進んでいくでしょう。

しかし、入居者様が求める細やかな気配りや心遣いは、やはり人の手が必要です。そんな中で、利用者さんも私たち職員も、心から安心できる場所を目指していくことが何よりも大切です。

特に、異なる文化や価値観を持つ外国人スタッフを安易に受け入れることには、慎重な検討が必要である場合もあります。 もちろん、国際的な視野を持つことは大切です。

しかし、まずは日本国内で介護の仕事がもっと魅力的に、そして働きやすくなるような環境を整えることが先決だと私たちは考えています。 介護の仕事は、人と人との繋がりを何よりも大切にする仕事だからこそ、働く私たち自身が生きがいを感じられる職場づくりが、今後の大きなテーマとなるのではないかと思う次第です。

 

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