日本老年医学会と日本老年学会が高齢者の定義について、もう一度、検討すると発表しました。これは、近年、アンチエイジングが普及して、身体能力の高い高齢者が増えてきているためです。高齢者は一般的には65歳以上とされ、有料老人ホームへの入居資格などの設定でも、この年齢で 区分されているのが通例です。しかし、医学的な身体能力からは75歳以上とする考えもあります。現在の年金制度や医療制度が65歳を基準にデザインされているので、大きな影響がありそうです。現在は65~74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者としています。
65歳以上の割合で高齢化率も算出されており、国際的な基準にもなっています。前期高齢者は高齢者と呼ぶには不適切だとする国立長寿医療研究センター研究所の 鈴木隆雄所長の意見なども知られています。もし、高齢者の定義が75歳からになれば、定年退職の時期も変化しますし、74歳までは 働くのがふつうということになります。
有料老人ホームは何歳から
労働人口の減少という問題も解消されますし、福祉の面でも、医療費や年金など、 国家財政の大きな負担となっているものが、ある程度、 解消される可能性もあります。 福祉を受けたいとか、年金で楽に暮らしたい考えの人には迷惑な話なのかもしれませんが、 日本という国が今後、何百年も永続的に栄えていくためには、重要なことです。 75歳からを高齢者とするという政策は、日本国家の未来を考えるならば非常に希望が もてる方向性ということなのです。75歳から有料老人ホームに入所するのでも十分、幸せな老後の人生が待っています。 福祉や年金にばかり頼るよりも、自助の精神で仕事に精を出すほうが、よほど充実した 生きがいのある人生になるかもしれません。
やなせたかし
やなせたかし氏といえば、アンパンマンの原作者で絵本作家であり、日本中に知らぬ人はいないというほどの人物です。アメリカのディズニーに比して、日本のやなせたかしと呼ばれるほどの芸術家です。やなせたかし氏は94歳で死去されました。亡くなる数年前に膀胱癌になったことが発端のようです。その癌が肝臓に移転していたそうです。漫画家ですから、タバコも吸うのでしょう。 このような癌でなくなる漫画家は多いと思います。それでも、94歳まで生きたというのはすばらしい長寿なことですし、アンパンマンという歴史に残るキャラクターを世に送り出したという偉業はたいへん尊いことだと思います。今の二十代ぐらいの若い人で、幼い頃にアンパンマンを見ていなかった人はいません。国民的な人気キャラクターであり、それはドラえもんなどに匹敵するといえるでしょう。
夢を忘れぬ老人
やなせたかし氏は、作詞作曲も自分でこなし絵も描くスーパーマンのようなマルチな才能を発揮し、「手のひらを太陽に」もやなせたかし作詞です。晩年は現役最高齢の漫画家として活動を続けていました。やなせさんの生き方は、これからの高齢化社会のひとつのあり方を示すものであり、人間は死ぬ直前まで、ライフワークに生きることができるのだということを証明されたやなせさんは、私たち日本人にひとつの道を示してくださったかのようです。有料老人ホームに暮らす高齢者の皆さんも、やなせたかし氏の94年の人生の足跡を参考に、生きがいをもって人生を最後まで生ききるという生き方にチャレンジしてもらいたいものです。やなせさんの作詞のアンパンマンの歌では、「何のために生まれて、何をして喜ぶ」とありました。すべての人はなにがしか天命があり、何かを成し遂げるテーマがあるのではないでしょうか。