有料老人ホームが乱立してくるにつれて、スタッフ研修が不十分な施設も 散見され始めてきています。とある県で「早く死になさい」という言葉を老人ホームの職員が入居者にあびせかける事件がありました。 それだけではなく「首つりがいいか」といった言葉まであびせていたというのです。事件は、H市の老人ホームでおこりました。 ここの職員が利用者に暴言した理由は、職員研修などが不十分だったためなのでしょうか。 通報により調査を受けて判明したということです。それは、徘徊する高齢者にむけてのものだったようです。ここでは徘徊防止のためにベッドに拘束しているケースもあったそうです。 つまり認知症のある高齢者の人権を侵害したということです。
有料老人ホームの人権問題
人権侵害となるこれらの行為をなぜもっと速やかに是正できなかったのでしょうか。 暴言を利用者に浴びた施設は新規利用者受け入れの6カ月間停止処分が下されました。 この処分は果たして妥当なのでしょうか。職員研修を改善しなければ、同じことが繰り返されます。 2施設の経営者は企業です。やはり、企業の運営ではこのようなことになるのでしょうか。そこでは、施設職員が利用者に日常的に暴言をいっていたのです。 問題発言のある職員は速やかに追放したのでしょうか。 そればかりか、人権侵害にあたる行為がさらにありました。 利用者の徘徊防止を目的にベッドの四方を柵で囲んでいたのです。 これは禁止されている身体的拘束にあたります。経営者の指示だったそうです。 組合に通報があり、組合と県が立ち入り調査をしていました。 安価な施設が増加すれば、同じような事例が次々出てくるのかもしれません。
有料老人ホームの診療所
有料老人ホームが、日本中に新規開設されています。国の補助が出るので新規の開設が増えているのです。新規の施設の特徴は、費用が安価であるところにあります。入居金も安価で、月額利用料金も安価です。かつての有料老人ホームといえば、高額な入居金がつきものでした。三千万円から五千万円の入居金を支払うことで、入居し、さらに高額な 月額利用料を支払ってようやく有料老人ホームに暮らせたのです。しかし、このような方法では、高額所得者しか有料老人ホームを利用できませんでした。それで、しだいに、利用料金の安い施設が新しく開設される流れとなってきたのです。では、どのようにしてこれらの安価な施設は、採算をとっているのでしょうか。 高額の有料老人ホームでは、診療所が隣接していたり、アメニティが充実していました。
年収と有料老人ホーム
安価な有料老人ホームは、こうしたアメニティをすべてなくし、診療所の隣接もなく、介護支援事業所を別途に開設して、そこからの介護者の派遣で、 介護保険の報酬をとる仕組みで採算をとっているのです。最初の入居金が小額で住むことは、サラリーマン家庭には助かる話です。 また、月額料金も安価であるために、年収が少なくても、高齢者となった親を施設に 入れることができるようになっています。診療所がないことは、体調の急変時には困りますが、近隣の医療機関と提携することで、この問題を解決しています。
有料老人ホームの二つの種類
有料老人ホームには、住宅型と介護型の二種類があります。大型の施設はこの二つの機能を 併設するようにして、建設されているところも多くみられます。 住宅型は、自立して生活ができる元気でしっかりした高齢者をターゲットにしています。 このような施設は温泉、アスレチックジム、カラオケ施設、趣味施設、食事の工夫など、 アメニティを重要視しています。 このような施設は、一定レベルの介護サービスはもちろんありますが、要介護度が高くなると、介護型に移動しなければならなくなることもありますし、病院に入院しなければならなくなります。住宅型と介護型を併設している大型の有料老人ホームでは、施設内の移動なので、便利です。一方、介護型の施設は、要介護認定を受けている人をターゲットとしています。 介護サービスが充実しているために、提携医療機関も充実しています。 そのため、施設内で看取ることもできる場合も多いです。この場合は、文字通り、終の住処といえます。予算もピンからキリまであります。 入居金なしでもよい施設もあります。
安価な有料老人ホーム
食費を含めた月額料金が20万円以内のところもあります。その一方で、入居金が1000万円から3000万円もかかるところもあります。 このような施設では、月額負担も20万円から30万円前後までかかります。最近の傾向として異業種からの参入が目立ちます。 ベネッセではリハビリに力を入れている施設が多く、ワタミでは食事に工夫がみられます。 学研は脳活性プログラムなどをとりいれています。この他、特別養護老人ホームというのもあります。これは、要介護の判定が出た人が 安価に入居できますが、待機者が全国に400万人もいると算定されています。 四人部屋などのところも多いです。なかなか入居できません。中には申し込みから入居まで数年かかるケースもあります。 また、遠隔地の施設しか空いていないことも多く、サービスやプライバシー面でも 他の施設に比べまだまだ十分ではありません。グループホームは、認知症のある高齢者のための施設です。家庭的な雰囲気のなかでケアを 受けるように作られており、共同生活を送ります。ただし要介護度が高くなってくると、他の 施設へ移動しなければならなくなることもあります。