有料老人ホームにおける認知症

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有料老人ホームに入居した高齢者が、直面する問題の一つに、認知症の問題があります。これは本人が認知症を発症してしまうという問題もありますが、 むしろ、周囲の人が認知症になっていくという問題が大きいです。本人が認知症になっても、それで困るのは周囲の人であって、本人にはわからない問題です。

有料老人ホームに入居した高齢者

しかし、自分は認知症ではないのに、一緒に入居した伴侶が 先に認知症にかかる場合があります。認知症になると当然、介護が必要になりますが、有料老人ホームの場合、介護スタッフは日常的に一緒に住んでいる子供やお手伝いさんではありません。あくまでも施設勤務のスタッフですから、24時間対応といっても限度があります。有料老人ホームの施設は、多くはスタッフが常駐するステーションルームがあって、そこから各部屋にスタッフが 出向く形になります。当然、必要な時に即座に手が借りられるわけではなく、スタッフを呼んでから到着するまでは 自分が認知症の伴侶の対応をしなくてはなりません。この心労は相当なものです。そして認知症がかなり進行してしまうと、施設によっては、別室の介護居室とか一時介護室とか名称は施設ごとに違いますが、こうした別室にいわば隔離されることになります。隔離といっても、同じ認知症の患者ばかりを集めてデイルームで過ごしたり、音楽療法や作業療法などを催して、刺激を与えて進行を遅らせる プログラムを行っている施設が増えています。

有料老人ホームでのトラブル対応

ところが、認知症が出ても進行が遅いために、 半分は自立したような状態の入居者がわりと多いのが、 有料老人ホームの特徴でもあります。もし、あなたが、健常なまま、こうした軽い認知症の入居者と接すると、 かなりのストレスを感じることになります。たくさんの人が集まる大食堂で、少しの不潔行為がみられるケース。 お茶碗によそった米飯をまたお櫃の中に戻したり、食べ散らかしの行為、他人のものをこっそり持ち帰ってしまい、盗難の自覚がまったくないケース、何日間も衣服や下着を交換せず、尿臭を漂わせても自覚がない人、こうした病的な行動をする軽度認知症の入居者が、どこの施設でも何人か必ずいるものです。周囲の入居者には、この人が認知症であるのか健常なのか 判然としない軽症の場合に、認知症からくる被害妄想から、「私は介護職員に財産を盗まれた」とか「入居者の○○さんが私のお金を盗んだ」とか 「食事に毒をもられた」とか様々な妄想的言動を引き起こすことがあります。それが噂になって広まり問題が大きくなり、迷惑を被る人が出るケースは、 有料老人ホームには非常にしばしば見かけます。 こうした人が健常な人に迷惑をかけないように眼を光らせるのが 有料老人ホームのスタッフの役目でもあります。 また、こうした軽い認知症患者が他の入居者からいじめを受けたり、人権侵害されたりしないように守るのも重要な使命なのです。

有料老人ホームを選ぶ人の心配は医療的な問題

自宅での生活では、急病になったときに、 誰も助けてくれないという不安があります。 有料老人ホームでは、スタッフが常駐しているので安心です。 24時間生活リズムセンサーを設置している施設が多いので、 24時間室内にまったく動きがないと、警報がなり、 スタッフが様子を見に来るようになっています。高齢者の多くは、高血圧の薬を飲んでいたり、 糖尿病の治療中であったりします。また、脳梗塞を患ったことがきっかけで有料老人ホーム入居を 決意した人もいます。高齢者には、当然、かかりつけ医が必要になります。 定期的に診察し、薬を処方してくれるかかりつけ医が、 有料老人ホーム施設の内部またはすぐ隣接で存在することが、 入居を決めるポイントになることが多いのです。このため、多くの有料老人ホームでは、隣接する形式で有床診療所を 経営しているケースが多いです。同じ経営母体の経営者が、一方で有料老人ホームを経営し、また一方で有床診療所を経営している形になります。法律的に、 有料老人ホーム自体が診療所を設置することができない問題があり、この方式をとっているのです。診療所を併設できない有料老人ホームの場合、すぐ隣に病院を経営して いたり、医務室を設置して看護師を常駐させたりしているようです。 隣が病院という有料老人ホームの場合はあまり問題はないかと思いますが、 医務室だけで看護師がいるだけのケースでは、医療的には不安が残ります。

有料老人ホームは赤字

今後、有料老人ホーム同士の過当競争がおきてくる段階に入っていますが、 診療所または病院の隣接を実現できていない施設では、 入居金を低額にすることで、生き残りをはかることになりそうです。診療所などの経営においては、ほとんどの有料老人ホームは赤字経営に なっています。これは常勤医師や当直医師の人件費が高額であることにもよりますが、儲けるためというより、入居を決断する安心材料としての存在意義を 診療所に求めているからです。ただし、病院と違い、診療所の場合には、医師が24時間切れ目なく 常駐する義務が法令上ありません。有床診療所であって入院患者がいる場合でも、昼間の医師と 夜の当直医師との交代が切れ目なく行われている保障はありません。多くの場合には、医師不在になる時間帯が早朝の一時間程度、夕方の一時間程度に存在する施設がざらにあります。この時間帯に万一、 脳卒中や心筋梗塞などの急病が発症した場合は悲劇です。 皆様が、どの施設にしようかと有料老人ホームを検討される場合は、こうした問題にもご注意下さい。 施設代表者である施設長にこの点を確認する方が良いでしょう。 なお、病院が隣にある有料老人ホームの場合には、病院は法令で 24時間の医師常駐が義務となるため心配はありません。

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