はじめに
皆さんが家族で癌だと診断されたとき、どんな心境になりますか?たとえ嫌だと嫌っていた親だとしても、不安に陥ってしまうと思います。私の家族が「食道がん」と診断されたとき、頭の中が真っ白になりました。でも振り返ってみると、毎日の生活の中に“サイン”はあったのです。
この記事では、体験を交えながら「食道がんの種類や重症度(ステージ)」「生活習慣との関係」「見直しポイント」までをまとめてお伝えします。
食道がんには種類があるって知ってましたか?
食道がんとひとことで言っても、実は大きく2種類に分かれます。
1. 扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)
日本で最も多いタイプ。喫煙・飲酒との関係が深く、食道の内側の粘膜にできやすく、進行も早い傾向があります。このタイプの食道がんは、男女比率で言うと、男性が圧倒的に多い傾向にあります。喫煙と飲酒率が男性の方が多いためでしょう。タバコのニコチンは油によく溶けて、アルコールは水も油もよく溶かします。よって、タバコを吸ってお酒を飲むと、ニコチンとアルコールの水とよく混ぜ合わされて、ニコチンのタールが食道や下咽頭にべったりくっつきます。喫煙と飲酒の両方をこよなく愛しているという人で毎日、両方ともの量が多いと、なんと癌になる確率が50倍にもなるといわれています。
2. 腺がん(せんがん)
欧米で増えているタイプ。胃酸の逆流が原因になることが多く、食道の下部に発生しやすいです。最近では、日本でもとても増えているタイプの癌になります。食道への胃酸の逆流の原因にもなるものですが、根本的な原因となっているのは、植物性油です。胃酸は水溶性であるので、油には溶けません。胃の中に油ものが来ても、なかなか消化できないために溢れんばかりに多量に胃酸が出て消化しようとする結果、食道への胃酸の逆流が起こります。そしてもう一つは、植物油は線組織に蓄積していきます。そのため、線組織でのがんが増えているようです。
食道がんの重症度(ステージ)と大きさについて
食道がんは、がんの深さ(粘膜だけか、筋層を越えているか)や転移の有無でステージが分けられます。
ステージ | 特徴 | 治療の選択肢 |
---|---|---|
ステージ0 | 粘膜内にとどまる | 内視鏡治療で完治も可能 |
ステージI〜II | 壁に浸潤するが、転移は少ない | 手術、放射線、抗がん剤 |
ステージIII | リンパ節などへの転移あり | 手術+放射線+抗がん剤 |
ステージIV | 他臓器に転移 | 根治は難しく、緩和的治療 |
腫瘍の大きさも進行度に関係しており、早期なら数mm〜1cm程度でも、進行すると5cm以上になることもあります。
「全周生」のケースとは?
私の家族が診断されたとき、医師から「全周生(ぜんしゅうせい)」であるとも言われました。
全周生とは?
がんが食道の内側をぐるっと一周囲むように広がっている状態のことを指します。部分的にできるタイプとは違い、全周生の場合は狭窄(食道が狭くなる)や飲み込み困難などの症状がより強く現れることがあります。
全周生の治療への影響
内視鏡治療で対応できることもありますが、粘膜下層への浸潤やリンパ節転移が見られる場合は、手術・放射線・抗がん剤の組み合わせが必要になるケースも。
“全周”ではあるものの粘膜内にとどまっている場合、慎重に治療計画を立てたうえで、内視鏡での切除で対応できるということもあるようです。
食道がんになりやすい生活習慣チェックリスト
以下の項目にいくつ当てはまるか、ぜひチェックしてみてください。
□ 毎日のようにお酒を飲んでいる(とくに強いお酒)
□ 熱い飲み物・食べ物をそのまま口にしている
□ 喫煙している(または長年吸っていた)
□ 食事が偏りがち(野菜が不足している)
□ 胸焼けや胃もたれをよく感じる
□ 揚げ物や甘いもの(クッキーやケーキ)が好きでよく食べている
✅ 3つ以上当てはまる方は、生活習慣の見直しを強くおすすめします。
生活改善3つのポイント
🍵① 熱い飲み物は少し冷ましてから
急いで飲むクセをやめて、飲み物は60℃前後を目安に。火傷を減らし、刺激を避けるようにします。
🍺② お酒は“量と回数”を決め、おつまみの工夫を
完全にやめるのは大変です。ですので、「平日は控え、週末だけに制限する」「アルコール濃度の高いものを低いものに変える」「おつまみを冷ややっこにする」などルールを決めましょう。くれぐれも、「お酒とタバコを一緒に」や、「お酒もたばこも多い」「揚げ物(植物油が多いもの)をおつまみにする」ということの無いようにしましょう。
🥗③ 野菜とたんぱく質のセット食事
「緑と白(豆腐・卵)」が食卓にあると安心です。がんの誘発原因となる小麦、植物油を摂らないように心がけます。
おわりに
がんのことは、正直あまり知りたくなかった過去の私。でも、知っていれば防げることがあります。気づいていれば早く治療できるかもしれません。また、食生活に気を付けていたら予防できたかもしれません。
食道がんは、他の癌と比べて進行度も早く、再発リスクも高いです。また、早期で見つかり内視鏡手術での治療で済んだとしても、そのあとの食道狭窄となり生活の質が大きく下がってしまいます。
「なってからでは遅い」正直そう思います。「なぜ、こんな大きな病気に」と嘆く前に、食生活改善で予防をしていく努力をしないといけないのではないかと思います。
この記事が、「知らなかった」を「気づけた」に変えるきっかけになりますように。そして、食生活の改善から、がんの予防へとなりますように。
そして、少しでも気になることがあれば、早めに医師の診察を受けてくださいね。