日本には、中国由来の武術がたくさん伝わっています。
これらは日本古流武術とはまた違った魅力をもっています。
日本少林寺拳法もそのひとつです。
少林寺拳法は中国の嵩山少林寺で栄えた少林武術を由来としている
この少林寺拳法の由来は、中国の少林寺に伝わる武術ですが、
そもそも少林寺の武術はインド古武術であるカラリパヤッドにはじまるそうです。
カラリパヤッドは、五千年前からインドに伝承されて現存もしている武術です。
これがインド禅とともに達磨大師により中国に伝わりました。
達磨大師は、中国にある崇山少林寺に禅を伝えました。
このとき、カラリパヤッドは、易筋行として伝承されました。
これが、僧侶の身体を鍛錬するための武術として発展しました。
随唐時代には、少林寺の僧兵として隆盛を極めました。
少林寺の武術はやがて、多数の流派に分かれて全土に拡散しました。
少林寺はこの後、時の権力者により危険視され、滅亡させられました。
少林寺拳法は日本人、宗道臣が少林拳の義和門の継承者となり日本に伝えた
時代が下って、欧米列強が中国に勢力をのばしつつあった時代、
義和団事件の時に反乱軍として活動した義和団は義和拳の集団です。
この義和拳というのは少林拳の一流派です。
日本軍の仕事をしていた日本人の宗道臣氏が
この時代に義和拳の継承者になったことが、
日本にこの拳法が伝わるきっかけとなりました。
彼は対馬の豪族、宗氏の末裔だそうです。こうして、宗道臣氏により
戦後日本に伝承されたのが今日の少林寺拳法です。
道徳を重視して人格を磨こうというのが少林寺拳法の目的
宗道臣さんの画期的なところは、武術として単に広めようとした
わけではなく、戦後の混乱する日本に道義心を復活させるための
手段として、少林寺拳法を普及させようとしたことです。
少林寺拳法では、「自他共楽」(他人も我も良しの精神)、
「力愛不二」(愛をつらぬくために強い力を持つ)を柱とします。
そして、「己こそ己の寄るべ」(人に依存せず自分自身を確立する)
と教えて、人間としての自己確立を大事にしています。
これに対して、空手などは、精神性を磨く部分がやや弱く、
一撃必殺を謳う流派があったりとやや精神性の部分が足りない印象があります。
非常に流派が多いのが空手なのでそうではない流派もあるとは思いますが。
沖縄に発祥し、南拳を元にしているとされる空手ですが、仏教の禅の
精神を柱にする少林寺拳法との性格の違いを感じます。
合気道は、「武は愛なり」と教え、精神性は最も高い
そして、少林寺拳法よりもさらに上をいく精神性の高い武道が日本にあります。
それが合気道です。植芝盛平さんという和歌山県田辺の人が創始したものですが、
日本古来の体術の各派を研究し、大東流柔術や鹿島神道流などをベースに、
独自の技を生み出したのが、植芝盛平さんです。
宗道臣さんより、やや世代が上ですが、ほぼ同時代の人物といえるでしょう。
合気道では、「武は愛なり」と教え「万有愛護の精神」を教えます。
また、「我即宇宙」として高次の存在との合一を目指します。
そして、攻撃の技ではなく完全に受けの武術になっています。
和の国、日本を根源とする神道精神をベースにした武術が合気道であり、
日本が世界に誇れる伝統武術の一つといってもよいでしょう。
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